今週の注目疾患   2020年 31週(2020/7/27~2020/8/2)
【今週の注目疾患】

【コレラ】
 2020 年第 31 週に県内医療機関から 1 例の届出があった。
県内では、2009 年以降5 例(うち 4 例が渡航歴有り(インド 3 例、フィリピン 1 例)、1 例が渡航歴無し)の届出を認める。
 コレラはコレラ毒素(CT)産生性コレラ菌(Vibrio cholerae О1又はО139)による急性感染性腸炎であり、コレラ菌に汚染された水や食料を摂取することにより感染(経口感染)する。
潜伏期間は数時間から5日、通常1日前後である。消化管内に入ったコレラ菌は酸に弱く、多くが胃の中で死滅するが、少数は小腸に到達し、コレラ毒素を産生する。
国内でのコレラの報告は、ほとんどは海外での感染によるものであり、渡航歴のない国内での感染例は、輸入魚介類などの輸入食品などの汚染によるものと推定されている。
2009年以降に県内で届け出のあった5例はいずれもО1コレラ菌であり、О1コレラ菌は古典型とエルトール型に分類され、近年のコレラはエルトール型によるものである。
О1エルトールコレラは軽症の水様性下痢や軟便で経過することが多いが、まれに“米のとぎ汁”様の便臭のない水様便を1日数リットルから数十リットルも排泄し、激しい嘔吐を繰り返す。
その結果、著しい脱水と電解質の喪失、チアノーゼ、体重の減少、頻脈、血圧の低下、皮膚の乾燥や弾力性の消失、無尿、虚脱などの症状、及び低カリウム血症による腓腹筋(ときには大腿筋)の痙攣がおこる。
胃切除を受けた人や高齢者では重症になることがあり、また死亡例もまれにみられる。
治療は消失した水分と電解質の補給のため経口輸液の投与等であり、また重症患者には抗菌薬の使用が推奨されている。
予防としては、流行地で生水、生食品を喫食しないことが肝要である。


【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和2(2020)年8月5日更新)